託宣が下りました。
「そうでもないぞ? 人間食おうと思えば何でも食えるもんだ」
「………」
具体的に何を食べたのかは聞かないほうがいい気がしました。
「アレスの家にはよく世話になった。さすがに妹らに薄汚れた格好をさせておくのは忍びなかったんでな、服をよくもらった。アレスの家は仕立屋と懇意で、最終的にはその仕立屋の息子も旅の仲間に引き入れた。ヒューイという腕利きの罠解除師だ」
騎士は上機嫌で続けました。「聞いて驚け、やつは裁縫の天才なんだ! 婚礼用のドレスなんぞお手の物だ。巫女よ、あなたの着るドレスもあいつに頼むのがいいぞ。俺から言っておくから」
「き、気が早いと思いますがその、……どんな方なのですか?」
「最高に腕がいいぞ。どんな罠でも解除するし、解除するふりをして俺を罠にかけるという応用までやってのける。あいつのおかげで色んな目に遭ったもんだ……今の俺の頑丈さはあいつのおかげだな」
嬉しそうに言うことなのでしょうか。
「口が悪くてな、毒を吐くのが何よりの趣味らしい。だが最初から毒を吐くと分かっている魔物は楽なものだ。だからそんなに気にすることはない」
「………」
「そう言えば巫女のお父上に渡した腹巻きはヒューイに作ってもらったものだな」
……聞いてはいけなかったような気がする。