託宣が下りました。
今度はわたくしが赤くなる番でした。片手を口元に引き戻し、こほんと咳払いをします。
けれどそんなことでごまかされてくれる妹ではありません。
「ヴァイス様に勝って、姉さんを解放するのが目標だったのにな。姉さん、ひどいよ」
「ご、ごめんねラケシス」
ラケシスは声を立てて笑いました。
「いいんだ。私も分かったからさ――他人にはひどい人間に見えても、付き合っている者だけが分かる良さがあるって」
式はいつになるの? とラケシスは言いました。
「私、出席できるかなあ」
すると後ろからカイ様が、力強く口を開きました。
「仮の式ですが、それについては僕からも王宮に言うつもりですよ。きっと出席を許可させてみせます」
わたくしがカイ様を見ると、彼はうなずいて、
「僕の――僕らアレス一行の言葉なら、陛下は聞いてくれます。聞かせてみせますから」
その言葉に、わたくしはちくりと心の痛みを感じました。
王族でさえ、彼らを重用する。そのことの意味を考えれば……素直に喜べません。
その思いを分かってくださったのでしょうか、
「大丈夫ですよ。僕ら簡単に魔王にやられたりしませんから」
とカイ様は微笑んで言いました。
そうだよ、とラケシスがカイ様を援護するように言葉を重ねます。