託宣が下りました。
「アレス様もヴァイス様もカイ様も本当に強いんだ。私も初めて目にしたとき、格が違いすぎるって思った」
サンミリオンに生まれた洞窟での話でしょうか。
かくいうわたくしも、騎士の強さの片鱗は巨大スライムの件で見ています。
カイ様の魔術の欠片だって見たことがあります。
……信じたい。そう思うのに。
「どんな魔王なのかしら……」
不安ばかり生まれてしまうのは、敵の正体が掴めないから。
「国も調べてくれています。どうやら前回の魔王より弱いという報告も上がってきていますし、きっと大丈夫です」
カイ様は一生懸命、わたくしの不安を晴らそうとしてくれます。
「どうして『弱い』なんていう報告が……?」
「それは、魔物たちの統率が取れているようには思えないからです。魔物は各地で活発化していますが、どうも、前の魔王のときのような一貫性がありません。今度の魔王は魔物を完全に従えることができていないのではないかと」
「………」
「もちろん、油断してかかるつもりはありませんけどね。魔王のすみかとなる魔王城はまだ見つかっていませんし、力を蓄えている最中なのかもしれませんから」
そんな風に説明するカイ様の声に、恐れはありませんでした。
わたくしは胸の前で手を組み合わせました。
星の神よ。どうか、彼らの勇気が報われますように。
彼らが生きて戻れますように――