託宣が下りました。

 雲が出て暗くなった木陰。ヨーハン様の顔も、暗がりの下。

「――今、同情しました?」

 ヨーハン様にそう問われ――
 わたくしは胸に手を抱きました。

「同情……のつもりはありませんが……ヨーハン様はさぞお力落としだろうと……」

 ふ。ふふ。
 彼は不気味に笑いました。

「……相変わらずお優しい、アルテナ様は」
「ヨーハン様……?」

 彼は天を仰ぎました。正しくは木陰を作っている樹を。

 常緑樹の樹は冬でもしんなりとたたずんでいます。動じることのない樹。けれどその下にいるわたくしたちは――

 ヨーハン様が深呼吸をする気配が、伝わってきました。

「……ひとつ教えますけど。学者たちが飼っていた憑依型の魔物は、硬化型魔物だけじゃなかったんですよ」

 声が――抑揚なく紡がれ。
 間延びしていた口調がただされ、はっきりと。
 暗く。

「普通に憑依する魔物も飼っていました。ただ扱いに困っていたようでしてね」

 ヨーハン様が再びこちらを向きます。

 わたしくは本能的に、その視線に恐怖を抱きました。違う。いつものヨーハン様と違う。

「……僕はね、その魔物を……どうにかしようとしたんですよ。でも――」

 言葉を切って。
 彼は、ベンチ上で、わたくしに近づきました。

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