託宣が下りました。

 すると騎士は目を見張り、「すまん!」と頭を下げました。

「俺は病気にはなったことがないものだから――すまん、喋るのはつらいのだな」

 実を言うと騎士の声の大きさも頭に響いてつらいのですが、それは我慢しました。
 彼の声が聞けなくなるのは寂しいと――思いました。

 彼のほうも、喋っていないと落ち着かないのでしょう。わたくしの手を握りながら、せわしなく口を開きます。

「しかしどうしてあんな公園にいたのだろうな。あそこはたしかに静かで人気もなくてあなた好みだろうが……()せん」
「………」
「眠っていたというのは、やはり最近疲れていたからだろうな。シェーラ殿のことで気遣いもあっただろう。今のうちによく眠るといい」
「………」
「そうだ」

 騎士は手をぽんと打ち、「以前カイからもらったリリン草がまだ下にあるはずだ。よし、あれを煎じて持ってこよう。ちょっと待っていろ」

 ベッドから立ち上がると、すたすたとドアのほうへと行ってしまおうとします。

「――待って」

 わたくしは呼び止めました。
 そしてそのことに、自分で驚きました。

 騎士が当然のように振り向きます。「どうした?」そう尋ねる彼の顔に、不審がる様子はまったくありません。

 わたくしは――

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