託宣が下りました。

 おもむろに、重い石のような体を起こそうとし――

「アルテナ! だからまだ体を起こしては」

 騎士が慌ててベッドに戻ってきます。しかしそれにも構わず、わたくしは起き上がりました。
 まるで内側にある力が、勝手にこの体を動かしているかのように。

「アルテナ――!」

 とうとうベッドから降り、わたくしは騎士の前に立ちました。

「だ、大丈夫なのか立ち上がったりして!? 体は!?」

 ひたすらわたくしの心配をしてくれる彼。大きすぎる彼の声は頭を直接攻撃し、頭痛はガンガンと鳴り響きます。

 けれどそれでも――
 止まらない衝動が、わたくしを突き動かしていました。

 唇が、熱い。

「ヴァイス様……」

 わたくしは彼の胸にすがりつきました。
 甘えるように頬をすりつけ、上目遣いで彼を見上げます。

「ヴァイス様。どうかわたくしを……あなたのものにして」

 ――いったい何を言っているのか――

 頭の中は白いかすみでいっぱいになっていました。彼の背中に両腕を回し、背伸びをして顔を近づけます。

 ――ああ、唇が熱い。
 どうかこの熱を取り払って。あなたの力で――

 けれど、騎士は真顔でわたくしを見返すばかりでした。

「どうしたんだ。様子がおかしいぞ、アルテナ」

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