託宣が下りました。

 ――どうしてそんなことを言うの。わたくしを求めてくれていたのは、あなたのほうのはずなのに。
 それとも、すべて偽りだったの――

「ねえ……お願いです。体が熱い……あなたの力で、おさめて」

 熱がようやく自分で理解できるほどに体に回ってきました。重い石が、鍛冶場で熱されたように全身が熱い。

 重くて――熱い。
 口づけを求めて彼の頬に顔を近づけると、彼はわたくしをおし放しました。

「本当にどうしたんだ。熱か? 熱のせいなのか?」

 彼はわたくしを横抱きにしようとしました。「クラリスを呼んでくる。大人しくベッドで横になっていてくれ」

 ――どうして? せっかくあなたのものになろうとしているのに。

 なぜわたくしを求めてくれないの?

 意識は霧がかかったようにあいまい。ただ、目の前にいるのは愛しい人だけ。
 彼に愛される、その甘美な誘惑だけがわたくしの脳裏にある。

 彼のものになって――
 彼の子を(はら)んで――
 ああ、何て素晴らしいこと――

 ――それなのに、あなたがそれを叶えてくれないというのなら。
 あなたの思いがすべて、偽りだというのなら。

「アルテナ!」

 わたくしは力一杯体をひねり、彼の腕から逃れました。
 そして両腕を伸ばしました。――彼の首へ――

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