託宣が下りました。

 アルテナが見つかり次第、魔術師と学者たちに容態を見せて、その『弱点』とも言える場所をさぐりあてようと考えていたのに。
 
「エリシャ姫のほうは無事に助かるんだろう。下らん、王族は助けても一般の巫女は救えんということか」
「いや……実はエリシャヴェーラ殿下のほうも危ういらしい」
「……なんだと?」
「どうも、彼らの思った以上に進行してしまっているらしくてな。学者どもは混乱のさなかで、まともな話にならなかったんだ」
「姫のことも助けられない……?」
 
 それならシェーラ殿はどうなるのだ。町の他の人々は。
 本当に本当に、学者どもはアテにならない……!

「……助ける方法は、ありますよ」

 ふいに声がかかった。
 
 寒さが一瞬、吹き飛ぶような衝撃の言葉だった。ヴァイスとアレスは同時に振り返った。
 
 そして、そこに思いがけない男がいるのを見た――

「――ヨーハン!」



 ヨーハン・グリッツェン。かつてアレス一行の仲間だった男。
 一人暴走し、仲間を再起不能にしたことを後悔してパーティを去った男。稀代の魔物学者――

 その旧知とも呼べる男を、ヴァイスは殴り飛ばしていた。怒りという怒りをありったけ拳にのせて。

「き、さま……」
 
 唇がわなわなと震えた。拳にはエネルギーが溜まりに溜まっていて、もう何度殴っても気が済みそうにない。

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