託宣が下りました。
アルテナが見つかり次第、魔術師と学者たちに容態を見せて、その『弱点』とも言える場所をさぐりあてようと考えていたのに。
「エリシャ姫のほうは無事に助かるんだろう。下らん、王族は助けても一般の巫女は救えんということか」
「いや……実はエリシャヴェーラ殿下のほうも危ういらしい」
「……なんだと?」
「どうも、彼らの思った以上に進行してしまっているらしくてな。学者どもは混乱のさなかで、まともな話にならなかったんだ」
「姫のことも助けられない……?」
それならシェーラ殿はどうなるのだ。町の他の人々は。
本当に本当に、学者どもはアテにならない……!
「……助ける方法は、ありますよ」
ふいに声がかかった。
寒さが一瞬、吹き飛ぶような衝撃の言葉だった。ヴァイスとアレスは同時に振り返った。
そして、そこに思いがけない男がいるのを見た――
「――ヨーハン!」
*
ヨーハン・グリッツェン。かつてアレス一行の仲間だった男。
一人暴走し、仲間を再起不能にしたことを後悔してパーティを去った男。稀代の魔物学者――
その旧知とも呼べる男を、ヴァイスは殴り飛ばしていた。怒りという怒りをありったけ拳にのせて。
「き、さま……」
唇がわなわなと震えた。拳にはエネルギーが溜まりに溜まっていて、もう何度殴っても気が済みそうにない。