託宣が下りました。
「アルテナに魔物を取り憑かせたのは貴様だと! 本気で言っているのか……!」
地面に倒れ込んでいたヨーハンは自力で上半身を起こし、切れた唇から流れた血を手の甲で拭った。
「……はい。僕がやりました」
「……っ」
「よせヴァイス! お前が何度も殴ったら死ぬ!」
振り上げられた拳をアレスが引き留める。
殴ったら死ぬ? 何度殴っても飽き足らないと言うのに。
大きく深呼吸をし、腹に冷たい空気を入れて激昂を鎮める。寒さを感じないほどに熱い体を、何とか冷まそうとする。
拳を、ゆっくりと下ろす。
ヨーハンはよろよろと立ち上がり、深く頭を下げた。
彼は語る。いつもの間延びした口調ではない、気落ちした真面目な声で。
「……魔物を売買するグループを追っている途中で、僕がうかつにも魔物に取り憑かれた。その魔物を、アルテナ様にうつしてしまったんです……」
「うつした?」
「だから僕は、アルテナ様に取り憑いた魔物の『弱点』を知っています。それと……エリシャヴェーラ様を始めとする硬化魔物についても、方法を考えてあります」
ヨーハンはまだふらついていた。元から体の強い男ではないのだ。
アレスがヨーハンを支え、「本気で言ってるんだな?」と念をおした。
「はい……嘘じゃありません」