託宣が下りました。

「何が何でも見つけて俺が魔物をはがす。アルテナを助ける。絶対に!」
「ヴァイス様。忘れないでください」
 
 身をひるがえそうとするヴァイスに、ヨーハンが告げる。
 
「――魔物をはがすということは、大半の場合別の人間に魔物を取り憑かせると同義。はがした後の処置を考えておかなくてはなりません――」
 
 そんなことは分かっているとヴァイスは応えた。
 そう――分かっている。魔物をはがすことの難しさは。
 それでも。
 
「やらねばならん……!」
 
 アルテナを無事に救い出す。彼の頭にはそれしかなかったから。

*

 幸いなことに、それから数刻もしないうちに有力な情報が手に入った。
 
「妙にふらふらと歩く寝間着の女性が修道院に向かっているのを見たという町の人間がいる」
 
 それはヴァイスの知己である町人たちの情報網から回ってきた。
 
 ヴァイスはアレスらとともに馬を飛ばした。ヨーハンも黙ってついてくる。魔物に関して一番詳しいのはヨーハンだから、ヴァイスも何も言わなかった。
 
 修道院に着いて修道長を呼ぶと、
 
「いえ、修道院には来ておりませんが……」
 
 困惑した声が返ってきた。
 
 そんな馬鹿なとヴァイスが動揺したとき、「あ!」と修道長は口を手に当てて、
 
「ひょっとしたら……裏の(みそ)ぎの間に?」

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