託宣が下りました。
「禊ぎの間? それはたしか星祭りや婚儀の日に使うための」
「そうです。ちょうど先日、アルテナとも行きました。ひょっとしたらそっちへ」
禊ぎの間に行った――なぜ?
「星の巫女としての本能なのか? しかしそれにしては」
「もしもアルテナ様にご本人の意識があるのなら」
ヨーハンが後ろで学者らしく朗々と喋る。
「魔物を倒すのには、禊ぎの水が必要と、考えたのかもしれません」
禊ぎの間の水は名ばかりではない、本物の神聖なる水だ。理屈は分からないが、浸かると魔を祓う。真に神による水と言われているのだ。
元々はとある山から汲んできている水だが――
「ちょっと待て。ではアルテナは、魔物憑きのまま禊ぎの水に入るか、禊ぎの水を飲むかしようとしているのか?」
そんなことをして大丈夫なのか。ヴァイスは青くなってヨーハンに迫る。
ヨーハンはいつものへらへらとした態度をすっかり改め、真顔で首を振った。
「……危険です。禊ぎの水はアイテムの『聖水』と同じですから」
聖水―――討伐者たちにはなじみのアイテム。
弱い魔物ならば、ふりかけるだけで消滅させることもできる。強い魔物にも、一定のダメージを与えられる。