託宣が下りました。
禊ぎの間に入るときは全裸が基本だと聞く。今のアルテナも、逃げたときに着ていた寝間着を脱ぎ捨て、全裸で水に浸かっている。
ヴァイスからは後ろ姿しか見えなかった。水に胸元まで浸かっている。体の周囲の水が、しゅうしゅうと煙を上げている。
大人しく祈りを捧げているわけではない。アルテナは体を前に折り、まるで胸をかきむしっているかのようにうめき声をあげていた。時おり背をそらし、天井に向かって悲鳴を上げる。かと思えば意を決したように頭まで禊ぎの水に浸かる。
水が激しく跳ねる音と、それに混じる苦しげな声がヴァイスの耳に届く。禊ぎの水に赤い色が混じりだしていた。全裸のその体を、自らの手で傷つけているのだ。
明らかに、常人が禊ぎを受けている状態ではなかった。
「アルテナ……!」
修道長が悲鳴を上げる。両手で口をおさえ、悲痛な顔で。
「意識があるんだ」
カイが息を呑むような声でそう言った。「魔物を、自力で倒そうとしているんだ、おねえさん」
しかしそのために苦しんでいる。魔物に聖水をかけると苦しむように、彼女は今、苦しんでいる。
ヨーハンが焦った声でヴァイスの腕に手をかけた。