託宣が下りました。
「ついでに鍵は開いたぞ」

 気がつくと、どうやったのか裏口の鍵を開けて、騎士はさっさと中に入り込んでしまっていました。

 ああ――。

 中に踏み込んでしまったならもう遅い。一緒にいたわたくしも共犯です。それに、

(シェーラに、二度と会えないなんて)

 考えるだけで胸が痛い。騎士の言うとおり、シェーラに会う機会がこの先あるとも思えません。

 もう、これしかない――。

 わたくしは悲壮な決意を固めました。もうどうなってもいい。ただシェーラの話だけは聞いて帰りたい。
 ……無事に帰れるかどうか、もはやわたくしも自信がありませんでしたが。
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