かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
一方、瑞希さんはと言うと。
彼は近々副社長になることが決まり、毎日忙しくしている。
瑞希さんのご両親に結婚の挨拶をしに行った直後から彼のマンションで一緒に暮らしているけれど、以前にもまして溺愛っぷりがスゴい。
私がちょっと動けば「俺がやる」、お風呂に入ろうとすると「ひとりじゃ危ないから一緒に入る」となにからなにまでかまってくるから、ありがたいような迷惑なような複雑な気持ちに困惑中。
妊娠している私のことを思ってのことだとわかっていても、心配性が過ぎるというもので。「妊娠は病気じゃないって、病院の先生が言ってましたよ」そう伝えたら、「それは先生の考えで、俺は俺の考えで決める」なんて言い出すから、もう手に負えない。
それでも瑞希さんと一緒にいられることはこの上ない幸せで、何物にも代えがたい至福の時間。
「瑞希さん、愛しています。命が尽きるその日まで、一緒にいてくださいね」
「なにを言っている。命が尽きる日までなんて生ぬるい、生まれ変わっても一緒だ」
冗談なのか本気なのかわからない言葉を真面目な顔をして言う瑞希さんは、世界一の旦那様になるに違いない。
甘い言葉に顔を熱くしていると、瑞希さんは満足げに微笑んで最高のキスをくれた。
「葉月、愛している」
「……嬉しい」
そう言って瑞希さんの身体に力いっぱい抱きついた私を、彼が優しく抱きとめてくれる。
力強いその腕に、いつまでも抱きしめていてほしいと心からそう思う。
そして、瑞希さんのことを愛することができるのは、この先もずっとただひとり──私だけなのだから。
END


