かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
今のはなに?
瑞希さんが顔を上げ満足気に微笑むと、痛みが走った場所に指を這わす。
「俺のものだという印をつけておいた」
「印?」
「キスマークってやつだ」
えぇ、キスマーク!?
そんなものをどこにつけたのか見ようとして、瑞希さんに抱きくるめられてしまう。
「大丈夫だ。ちゃんと見えないところにつけておいたから、安心しろ」
「安心しろって言われても……」
なにかのはずみで見えてしまったらと思うと気が気じゃない。でも『俺のものだ』と言われて嬉しい自分もいて、言い返す言葉が尻つぼみになってしまった。
「もうそろそろみんなが出勤してくるな。いつまでもこのままじゃダメか。ああ、離したくないな」
瑞希さんの口からまさかそんな言葉が飛び出してくるとは思わなくて、オロオロとするばかり。離さないといって強く抱きしめられても、もういつ誰が来てもおかしくない。抱き合っているところを見られたら大問題。相手が瑞希さんだもの、きっと大騒ぎになるだけじゃ済まない。
「ダメですよ。こうしてたいのはやまやまですが、そろそろ離してください。こんなことをしているのがバレたら、大事になります」
「わかった。でも少しだけ、このままで」
必死な努力もむなしく瑞希さんにそう言われて、諦めて彼に身を任せた。