かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 翌週からのゴールデンウイークは、瑞希さんとデートを重ねた。楽しい時間はあっという間に過ぎ、それから数週間が過ぎたある日のこと。
 そ
 の日の仕事は順調に定時に終了。デスクの上を片付け帰り支度も終わりかけたころ、目の前の電話の内線が鳴り響く。その内線をすぐに取ってしまったのが、運の尽きだったのかもしれない。

「はい、人事課野中です」
『すみません、秘書課の香野と言いますが、野中さんに折り入ってお聞きしたいことがあるので、第一会議室まで来ていただけますか?』
 
 秘書課の香野さん? 顔と名前はなんとなく知っていても、全く関係のない彼女が私に聞きたいことってなんだろう。

「今からですか?」
『そうですね。至急お聞きしなければならない案件なので、申し訳ありませんが今すぐお願いできますか?』
「わかりました。すぐに伺います」
 
 至急という言葉には首を傾げる。なにかミスでもしたのかと思ったけれど、秘書課に迷惑をかけるようなことはしていないはず。個人的なことも思い当たる節はないし、やっぱり仕事のことだろうと自分を納得させた。


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