かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

 第一会議室があるのは十階。運動を兼ねてと階段で下りると、息を整えてから会議室のドアの前に立った。

「失礼します」
 
 ドアを開け、恐る恐る室内を覗き込む。

「野中さん。こっちに来てくれる?」
 
 テーブルがずらっと並べられた、会議室の一番奥。声の主はそこにいて、私を手招きして呼ぶ。会議室のドア緒を閉めると、声をかけてきた綺麗な女性がすっくと立ちあがった。
 
 確かこの人が、香野さんだったはず。
 
 年齢は二十代後半といったところだろう。濃紺のスーツに白シャツ。パンプスは脚が綺麗に見える絶妙な高さのヒールで、シャープなカットの履き口は脚をすらりと見せている。身のこなしは上品で清楚、そこからどう見ても秘書といった感じだ。
 
 それにしても、彼女の周りにいる三人の女性は誰?
 
 ここにいるのだから、アシタホールディングスの社員なのは間違いないと思うけれど。どこかで見たことがあるような、ないような……。


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