かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
まるで香野さんの親衛隊のように立っていて、敵意でもあるのか冷たい視線で私を見ている。
するとそのうちのひとりが一歩前に出て、忌々しいと言わんばかりに口を開いた。
「単刀直入に聞くけど。あなた先月末頃に、遊佐専務とどこかに行かなかった?」
「え?」
先月末……そう聞かれて、ハッと息を呑む。
彼女は今、『遊佐専務』と言った。ということは、私が瑞希さんと水族館に行ったことを知っている? でもなんで? 同じ日に、あの水族館にいたんだろうか? そんな偶然ってある?
頭の中は疑問符でいっぱい。驚きから精神的に動揺して、どう答えたらいいのかわからなくなって落ち着きを失う。
私は瑞希さんと付き合っている。私は瑞希さんの彼女なんだから、自信をもって言えばいい。そう思う反面、言ったことで瑞希さんに迷惑をかけないかと心配になってしまう。
「答えないつもり? だったら、これを見て」
もうひとりの女性はそう言って、手に持っていたフリーペーパーらしき冊子を私の目の前につきつけた。そのページにはインタビューを受けている、女の人の写真が載っている。