公然の秘密
「その…」

「うん」

「私と…同情で結婚した訳ないですよね?」

「逆に聞くけど、何で同情で結婚しなきゃいけないんだよ」

「私がかわいそうだと思ったから…」

尾関は柚愛の頭に手を伸ばすと、
「んな訳あるか」
と、髪をクシャクシャにするようにしてなでた。

「ちょっと、痛い…です…」

「柚愛がアホなことを言ってるからだろ」

尾関は言い返すと、頭から手を離した。

彼のせいでボサボサになってしまった髪を手ぐしで整えた。

「まあ、確かにあのバカヤローには頭にきたな。

でもそれとこれとは別だ。

少なくとも俺は同情で柚愛と結婚した訳じゃないし、気持ちがあったから結婚しようと思った」

尾関は言った。
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