公然の秘密
「どうかしたか?」

そう聞いてきた尾関に、
「えっ、何が?」

柚愛は聞き返した。

「何かぼんやりとしてたからどうしたのかなって」

「えっ、そう見えた…?」

尾関に言われて、柚愛は頬に手を当てた。

「何か他に買いたいものでもあったか?」

「ないない」

尾関の質問に柚愛は首を横に振って答えた。

「そうか」

尾関は返事をすると、
「何か休日を過ごしたって言う感じがしていいな」
と、言った。

「そうだね」

「日帰りでいいからどこか旅行にも行きたいかも。

温泉とか観光地を巡るだけとか美味しいものを食べたりとか」

「旅行か…もう何年も行ってないかも…」

そう言った柚愛に、
「じゃあ、今からどこ行くか考えとくか?」
と、尾関は笑った。
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