公然の秘密
尾関と手を繋いだのは初めてだった。

（今さらだけど、麗一さんに頼って甘えているところがあるよね…？）

彼と一緒に手を繋いで歩きながら、柚愛はそんなことを思った。

出会ってからそんなに日が経っていないはずなのに、いつの間にか尾関に頼ってばかりいる自分に気づいた。

弘人とケンカをして家を飛び出した時、尾関は嫌な顔をひとつも見せずに愚痴につきあってくれたうえに提案も出してくれた。

彼の口から思わぬ一面と気持ちを聞いてショックを受けていた時は自分の代わりに怒ってくれたうえに、別れて一緒にいたいと言う自分の気持ちにも答えてくれた。

弘人の襲撃からも守ってくれたし、嫌がらせをされた時もまるで自分のことのように怒ってくれていた。

「柚愛？」

尾関に名前を呼ばれてハッと我に返った。
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