優しすぎる彼が、今日も私を溺愛しすぎる
「秋穂?」
「ひゃっ!」
またぼーっとしていた。
颯太がおかわりのジョッキを、また首筋に当ててきた。
「もう、驚かさないで!」
私がそう言いながらジョッキを受け取ろうとすると
「これでビールは終わりだって言ってくれたら、あげる」
「わかった!わかったから!お預けしないでー!」
「はいはい」
颯太は私にジョッキを渡す。
そして空いた手で私の頭をまた撫でる。

空を見ながら、2杯目のビールを飲む。
雲一つない満月だ。
「ねえ、颯太」
「ん?」
「どうせなら、こういう時に言って欲しかったな」
「何を」
「しようかって」
「しようかって……」
颯太は一瞬だけ考えたふりをして、悪いことを考えたような笑みを浮かべ、耳打ちする。
私は、その言葉を聞いて、真っ赤になってしまった。
「ばか」
そう返すだけで精一杯だ。




きっともうすぐ、新しい家族が生まれるのかも……しれない。
そうなる前に、もう少しビールの量を減らす努力をしてもいい……かも?
< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:44

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

君のため、最期の夏を私は生きる

総文字数/6,305

恋愛(純愛)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
202×年8月31日。 東京の中心を走る電車の中で、28歳無職の男が次々と乗客をサバイバルナイフで刺すという凄惨な事件が起きました。 彼の目的は、有名なテーマパークに行こうとしていた、とある高校生カップルでした。 彼はそのカップルを執拗に追い回します。 そしてついに、彼がカップルを追い詰めた時でした。 彼が、カップルの男を刺そうとした瞬間、女が刺されました。 そして次に、呆然とする彼にカップルの男がナイフを突き刺しました。 カップルの男女は、そのまま息を引き取りました。 彼はたった一言こう囁いてから自らの喉にナイフを突き立てました。 「どうして妹のお前が、俺を殺すんだ。俺には、お前だけだったのに……」 こうして、この通り魔事件は被疑者死亡という形で、幕を閉じた……はずでした。 これが、妹と呼ばれた私の記憶です。 分かっています。 兄がお前だけだったのに、と言った本当の意味を。 神様。兄に命を奪われた私の哀れな最期の願いと思い、どうか聞き入れてください。 このままでは、3人とも地獄逝きです。 私以外の2人は、本来であれば天国に愛されたはずの人間です。 私が、彼らを堕としたのです。 だからお願いです。 私に、時間をください。 必ず正しい形にしてみせますから。 地獄に逝くのは……私だけです。 <登場人物> 笠木真白(16)高校1年生 笠木要(28)無職・真白の兄 虹丘望(16)高校1年生。真白の彼氏
表紙を見る 表紙を閉じる
※この作品は 「二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました」 の続編です。 先にこちらをお読みいただくことをお勧めします。 僕の名前は、芹沢涼(32)。 昔は、ちょっとやんちゃもしていたけれど、今では可愛い奥さんに夢中。 ちなみに、すでにお腹には僕と奥さんの愛の結晶もいる。 まさに、僕と奥さんが結ばれるのは運命としか言いようがない。 反対尋問は断固拒否。 そんな僕が愛してやまない奥さんには、僕以外にも夢中になっているものがあるんだ。 この間も。僕と奥さんがリビングでいい雰囲気になっていた時。 僕がキスしようとするといきなりスマホのアラームが鳴り出したんだ。 するといきなり 「やらねば…………」 って、怖い顔でスマホを操作し始めたんだ……。   「ねえ、香澄?今キスしようとしてたんだけど?」 「ごめんなさい、でも今それどころじゃなくて」   そ れ ど こ ろ じ ゃ な い!? どうも、様子を見ていると……。 奥さんのスマホの画面には男のアニメらしきものがたくさん表示されてて、奥さんは親指で絵をタップしたかと思えば真剣に祈ってる。 「香澄?なにしてるの?」 「SSRが来ることを祈ってる」 S S R って……な に!?  ※第1章 内容一部抜粋 ▼登場人物 芹沢涼(32) 頭脳明晰眉目秀麗、今話題の弁護士とハイスペックな元クズ男。 恋愛経験人数は数知れず、だった。 いろいろあった今は、病的愛妻家。 妻がいない人生は考えたくないがモットー。 現在、妻を二次元に取られないために試行錯誤中だとか……。 弟からは「歩く公害」と呼ばれている。 小森香澄(23) 元クズ男を無自覚で翻弄しまくった挙句、初恋沼につき落としてしまった、引きこもりコミュ障な恋愛ゲームシナリオライター。 ただいま元クズ男との赤ちゃんを妊娠中で出産間近。 たぬきとチワワを足したような、愛らしい容姿を持つ。 何故涼が自分を溺愛するのか、未だに謎だと思っている。
表紙を見る 表紙を閉じる
そこそこの財産を持ち、そこそこの生活ができるけど、貴族社会では1番下のブラウニー男爵家の末娘、リーゼ・ブラウニーは、物心ついた頃から読み込んでしまった恋愛小説(ちょっぴりエッチ)の影響で、男女問わず「カップリング」を勝手に作っては妄想するようになってしまった。 もちろん、将来の夢は恋愛小説(ちょっぴりエッチ)を書く作家。 娘を溺愛する両親や兄達も、そこそこの財産があればスタンスなので、リーゼを無理に嫁がせる気はなし。 そんなリーゼが今最も推しているのは、眉目秀麗文武両道で評判のエドヴィン王子と、王子の婚約者候補ナンバー1と言われる公爵令嬢アレクサンドラのカップル。 「早く結婚すればいいのに。結婚式はぜひ遠目で眺めて、それを元に小説書いてデビューしたい」 そんな風にリーゼは胸をときめかせていた。 ところがある日、リーゼの元に何故か「王子の婚約者選抜試験」の知らせが届く。 自分の元に来る理由が分からず困惑したものの 「推しカプを間近で眺める絶好のチャンス!」 と、観光気分で選抜試験への参加を決意する。 ところが、気がついた時には全裸で知らない部屋のベッドに寝かされていた……!? しかも、その横にはあろうことかエドヴィン王子が全裸で寝ていて……。 「やっとお前を手に入れた」 と言ってくるエドヴィン王子だったが 「冗談じゃない!私とのカップリングなんて萌えない、断固拒否!」 と逃げ帰ったリーゼ。 その日からエドヴィン王子から怒涛のアプローチが始まるだけでなく、妊娠も発覚してしまい……? この話は「推しカプ至上主義!(自分以外)」のリーゼと、「リーゼと結婚するためなら手段を選ばない」エドヴィン王子の間で巻き起こる、ラブバトルコメディだったりする……。 <登場人物> リーゼ・ブラウニー  男爵令嬢 18歳 推しカプに人生を捧げる決意をした、恋愛小説家志望。 自分と他人のカップリングなんて見たくもないと、全力で全否定をする。推しに囲まれたいという思いだけで絵画、彫刻、工作、裁縫をマスターし、日々推しを持ち歩ける何かをせっせと作っている。 エドヴィン  王子 18歳 パーティーで知り合ったリーゼ(ただしリーゼ本人は全く覚えていない)に一目惚れしてから、どうすればリーゼと結婚できるしか頭になかった、残念すぎるイケメン王子。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop