チューリップ~君に贈る花~
「申し訳ありませんが、あなたは【生まれ変わり】の対象ではありません。」
そう言って、俺の前に立ちふさがったのが、今俺の目の前にいるこの男だった。
「…は?」
男の言っていることが全く理解できなくて、上手く反応できなかったことを覚えている。
「ですから、あなたは【生まれ変わる】ことができないんです。」
男は、呆気にとられて立ち尽くす俺に、もう一度丁寧な口調で復唱した。
薄暗い闇の中を一方向に向かって大勢の人が歩いているこの奇妙な世界で過ごしているうちに、なんとなく自分が置かれている状況に気が付き始めていた。
俺はもしかしたら、って…。
あくまで予想でしかなかったけど、この目の前に立つ男の言葉ではっきりと確証に変わった。
ああ、俺は死んだのか…と。