年上同期から恋人へのロード
「う、うん、ありがとう。秋月くんもね」
そう言って、私は再び歩き出した。
振り向くと秋月くんはずっと私を見送ってくれている。
掴まれた腕に、秋月くんの熱を感じた。
腕に感覚が残っている。
私は掴まれた部分をさすった。
あの時、私は・・・

管理部は時期的に業務が集中する以外は基本定時で終わる。
吉田部長は、「早く帰れ~」と時間になると声をかけてくれるので帰りやすい。今週は早く帰ったので、ゆっくりと自分で食事も作れた。
今日は家にある食材で何か適当に作ろうとエプロンをつけようとしたとき、電話が鳴った。
栗田先輩からだ。

「牧瀬、まだ仕事?」
今日の先輩の声は、好きだった頃の元気な先輩の声だった。
「いえ、もう家です」
「そっか、ゆっくりしてるところ悪かったね。実はさぁ・・・」
そういって、高校時代の同じ部活の先輩の結婚話を教えてくれた。
「あいつが結婚するなんてね。牧瀬に宜しくって」
「おめでたいですね。ありがとうございます」
久々に昔話をして、楽しかった頃に引き戻された。
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