想定外恋愛
「どのようなベッドをお探しでしょうか?」
ベッド売り場をうろついてると店員に話しかけられた。
若い女の子だ。
綾葉に似た雰囲気を持っている。
「どのような.....。」
「お兄さんとてもイケメンなので、カッコいい雰囲気のベッドフレームとかはどうですか?」
なんとなくだけどこの子から好意を感じる.....。
なんとなくだけど。
「黒とか?どうですか?」
「黒ねぇ.....。」
「とてもお似合いだと思います。個人的にも.....オススメかなぁと.....。」
仕事中だってわかってんのかな?
公私混同しているような態度に俺はため息を吐いた。
「俺じゃなくて、彼女に合わせたベッドを考えてまして。」
「かのじょ....。」
彼女という言葉を出した途端に顔色が変わったのがわかった。
「身重の身体なので、腰が痛くなりにくいマットレスとかありますか?」
「身重って.....。ご希望に沿ったものがないか探して参ります。」
「お願いします。」
彼女はその後2度と俺の前に現れることはなかった。