一番好きなのは、キミだから
うららかな昼下がり。
校門を出て、真宙くんと並んで歩く。
真宙くんと一緒に帰るのは、今日が初めて。
あたしのすぐ隣に真宙くんが……
そう考えると、ドキドキする。
だけど……それ以上に嬉しい。
「どうしたの? 七星ちゃん。なんだか嬉しそうだね。何か良いことあった?」
それは、今日のクラス替えで真宙くんと同じクラスになれて。席も前後で。
その上、いま真宙くんと一緒に帰れているからだよ。
ていうかあたし、嬉しいって顔に出てた!?
「そういや七星ちゃんって、電車通学だったっけ?」
「うん。真宙くんは?」
「俺は、徒歩通学。駅を通り過ぎて、少し行ったところが家だから。それじゃあ、通学定期とか持ってるんだ?」
「あ、うん。カバンにつけてるよ」
あたしは、クマのキャラクターの顔の形をしたパスケースを真宙くんに見せようと、カバンの持ち手部分についているソレに目をやったそのとき……
真宙くんの手があたしの腰に回ってきて、いきなり抱き寄せられた。