一番好きなのは、キミだから



中条さんの声が聞こえたのか、真宙くんがチラリと振り返り、笑顔で拳を突き上げる。


「スミくーん! かっこいいよー!
好きーっ!!」


それを見た中条さんの声が、更に大きくなる。


中条さん。今、好きって言った!?

こんな沢山の人がいるところで、堂々と凄い。


真宙くんは同じ赤チームの人に、ボールをパスしたところだけど、今の聞こえたんだろうか?


それに、なんだろう。

メラメラと、心が燃えるようなこの感じは。


中条さんに、負けたくない。


あたしも、真宙くんが好きなんだ。


今日は、好きな人の応援に来たんだ。


あたしも……頑張る真宙くんにエールを送りたい……!


だから……あたしも、中条さんに負けないくらいの大きな声を出さなきゃ。


スポーツドリンクのペットボトルを脇に挟むと、あたしは両手を口のそばに添える。


スーッと、深呼吸して。
お腹の底から……


「真宙くーん! 頑張ってーっ!」



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