一番好きなのは、キミだから
「……っ、はぁ」
よし。自分が出せる限りの、精一杯の声を出せた。
だからか、喉がほんの少しヒリヒリする。
──真宙くん、真宙くん。
中条さんみたいに、ここでは言えないけど。
あたしも、あなたが好きです──。
そう心の中で呟いたとき、真宙くんがふとこちらへ振り向いた。
え!?
まだ紅白戦の最中なのに、走っていた足をわざわざ止めて。
汗を手で拭った真宙くんはあたしに向かって、笑顔で手を振ってくれた。
そして、真宙くんが自分の耳の下を、両方の人差し指でさし……
『か・わ・い・い』
声は聞こえなかったけど、真っ直ぐあたしを見る真宙くんの口が、確かにそう動いた。