やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 愛莉がいない間に俺の荷物を少しずつ運び出していく。
 でも気付いて無いだろうな。
 家の中は日に日に荒れていく。多少物が減っても、これじゃあ分からないと思う。
 掃除も片付けも、本当に何もしない。
 俺がしないと怒るくせに、自分ではやらない。

(本当に、こいつのどこが良かったんだろう……)

 コンビニで買ってきたお惣菜が、食べかけのままテーブルに放置してある。この季節にこんな事してたら虫が寄ってくるってのに……
 見ていて気分は悪くなるけど、もう愛莉の為に指一本も動かす事も出来なかった。

 改めて見れば家の中は愛莉のものでいっぱいだ。ここの主人は愛莉だと、家にもそう言われているかのように感じてしまう。

 愛莉の為に奮発した住まいには、俺の居場所なんてない。あると思っていただけで、最初から無かったのかもしれない。
 荷物をまとめて、そそくさと退散する。
< 116 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop