やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
やっとの事で絞り出した声は震えていたけれど、その言葉の意味を理解したらしい智樹は一瞬ぽかんと惚けた顔をした。
「何だって?」
「やり直しなんてしない!」
気付けば私は河村君の腕に縋り付くように立っていた。
その様を見て智樹は得心したように声を上げて笑う。
「馬鹿だな雪子、そいつは俺が嫌いなだけだ。学生時代から何かとお前に構っていたのは、俺に対する当て付けだよ。
何を言われたのかは知らないけど、そいつがお前を好きな筈無いだろう」
容赦ない言葉が胸に刺さる。
河村君の腕がぴくりと反応したけれど、それを抑えるように腕を握る力を込めて、声を発した。
「河村君とは友達よ! 変な言い方しないで!」