やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
叫び声に河村君の腕が僅かに強張った。
言った言葉がブーメランになって胸に刺さるけれど、今は気にしてはいけないのだと自分に言い聞かせる。
「……河村君は関係無い。私はあなたとやり直す気はもう無いの」
意味がわからないという風に眉を顰める智樹をじっと見つめる。
「好きになれないなら、付き合おうとしないで」
溢れるように落とした言葉に、胸が軋んだ。
好きだった、好かれたかったあの時の自分。
いつも智樹を一番優先してきた時間は、結局全て愛莉さんのものだった。
そうやって心を摩耗してきたのだと知った、あの時、私は自分の中に何も残らなかったような虚無感に襲われて。あの虚に今更水を掛けたところで、萎れた花は息を吹き返さない。