やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

『じゃあ、俺は帰るから』

 不機嫌な智樹の態度と、一緒に帰ろうと言われない事に、気が付いた。
 多分愛莉さんに会うんだなあ──って。

 幼馴染なんだし、彼らにしてみれば会うのは当然なんだろう。
 子供の頃から仲が良かったとも聞いている。上京ってしてみると分かるけど、出身地について語り合えるって、それだけで楽しいし嬉しい。

 でも……

「幼馴染」は変わらないと、私は信じた。
 初めてできた「彼女」は私だって言ってた言葉が、私を強くしていると思ってた。から、

『うん、気をつけてね』

 これが正解なんだと思って手を振って見送った。



『……日向って何の用事なの?』

 智樹の背中を見送った後に亜沙美さんが告げる。時刻は、十九時を指していた。遅い時間では無いものの、彼女を置いて帰る姿勢に少しだけ不服そうに見える。
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