やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「誰と話してたの?」
真っ直ぐに向けられる眼差しに、何故か怯んでしまう。
「……知り合い」
思わず視線を逸らしてしまったのは、自分の惨めな姿を見られるのが恥ずかしかったから。
「……日向?」
「っ、違う!」
問われた名前に弾けたように顔を上げて、咄嗟に出てきたのは否定の言葉。
その名前を、今は聞きたく無かった。
僅かに目を見開く河村君と目を合わせながら、それでも智樹を拒絶する言葉を口にする自分自身に驚いて、視線を彷徨わせる。
そっか。と落とされた河村君の言葉を耳が拾って。
表情を和らげ、気遣うようにこちらを覗き込む河村君に胸が詰まってしまう。
「何かあった?」
優しい表情に泣きたくなるけれど、そんな甘えはおかしいと自分に言い聞かせて、出来るだけの笑顔で答える。
「別に何もないよ、大丈夫。あ、今日はもう帰るね……って、送別会の主役にそんな事言ってごめんね」
それだけ言って急いでその場を去ろうとする私の手を、河村くんが掴んだ。