【完】夢見るマリアージュ

ない。ない。 これはつまり、木島さんに好意を持たれているという事。なのか?
最近ちょくちょく連絡はし合っていた。
仕事中でもよく話を掛けられていた。 だけど、まさか。

「な、ナイです…」

私ってどうして、こうやんわりと断れないのだろうか。
しかしどう考えても’ナイ’のだ。

大体北斗さん以外に私の中での選択肢は’ナイ’
木島さんだって私にしてみれば釣り合いのとれないほど素敵な男性だ。 けれど、ナイ。

だって私は北斗さんが好きなのだから。  そうハッキリと自分の頭で自覚をした瞬間ハッとした。


どうして私はこんなにも好きな北斗さんを避けているのだろう。

付き合ってくれないかと言われてあんなに嬉しかったのに、どうして母の言う通りに動いてしまうのだろう。

幸せになる事から逃げて北斗さんからも逃げて、それでもどうして変わろうとする事を止めなかったのだろう。

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