【完】夢見るマリアージュ
「…私の両親は…北斗さんのご両親とは正反対の人ですよ…。
父は幼い頃から余り家に帰らなかったし、そのせいで母はいつもピリピリとしていました。
私、母には勉強を頑張れとずっと言われ続けて、だから学生時代は勉強しかした事がなかったんです。
あれだけ言われて勉強だけをしていたから大学にも受かったようなもので…でも正直母とは仲が良いとは言いずらいので会いたくありません。
実際上京してきてから実家にもほぼ帰っていませんし」
母とは一生分かり合えないと思っている。
あれだけ男にうつつを抜かすなと言われているのに、北斗さんとこんな関係になったなんて母に言ったらどうなるのだろう。
母は私を失敗作の子供だと思うに違いない。
これからどうなるかなんて分からないんだ。母にこの事は秘密にしておこう。
「そうなんだ。俺香ちゃんの事情も知らずに無神経な事を訊いてしまってごめんね…。」
「いえ、北斗さんのせいではないのでご心配なさらずに。 母と私が上手くいかないのは、私が原因なんですから。
昔っから私はぐずでのろまで母を苛々させる事しか出来なかったんです…」