【完】夢見るマリアージュ
「何か、匂うわね…」
「え?臭いですか?私?」
着ていたブラウスをくんくんと鼻先に近づけると「そうじゃない!」と岸田さんは見事なツッコミをいれた。
青柳さんが来てから岸田さんはずっとしかめっ面をしたまんまだった。どこか彼女の話も流し聞きしていた。
「青柳雫よ…」
「匂うというか…すごぉーく良い匂いしましたよね…?!
香水とはまた違って良い匂いがしました。 どうして美少女って体臭まで良い匂いなんでしょうか」
私の言葉に岸田さんは大袈裟に頭を抱える。
「はぁー……あなたってばもう…。
あれは男ウケを考えた石鹸の香り風に自然に見せるフレグランスでしょう?
それに私が言いたいのはそういう事じゃなくって…
突然あなたに話を掛けてきたり仲良くしたいなんて言ってきて、一体何を考えているのかしら?
絶対北斗さんとあなたの噂を聞いて何かを企んでいるようにしか思えないわ」
「えぇ…?! そういう事ですか?!」