【完】夢見るマリアージュ

「むしろそれ以上痩せすぎちゃったら俺心配だし。
香ちゃんの美味しい物を美味しそうに食べている所に惚れているんだ」

「そうやって北斗さんが甘やかすからいつまで経っても痩せられない!」

「いいじゃないの。俺は君を甘やかしていたいんだ。」

キッチンでの私達の会話を聞きつけて、リリーがこちらに向かってくる。
私の前で止まり黒目がちな瞳を瞬かせる。

「リリーおいで。」

北斗さんと一緒に暮らし始めて、リリーはすっかりと私に懐いた。 うさぎが懐くって本当だったんだ。不思議な気持ちでいっぱいだけど、人でも動物でも愛情をかければかけるほどそれを返してくれるものだ。

北斗さんに出会う前の私には分からなかった事だ。

人の視線が怖くて周りからどう思われているかいつも不安で、自ら心の壁を作っていた。
そんな頑なな心を北斗さんが柔らかくしていってくれた。

まだまだ彼の隣でつりあう女性だとは思っていない。

けれど少しだけ自信を持つことが出来るようになった今、周りから何を言われても顔を上げて歩く事が出来る。

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