【完】夢見るマリアージュ
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「城田さん、スマイルスーパーへの商品の発注が一桁違っているんだが?!
こんな初歩的なミスをして、何ヵ月この会社にいるんだよッッ。」
「も、申し訳ありません……」
「たくッ。これだから女は使えねぇなあッ。 」
「本当にッ…申し訳、ありませんッ……」
阿久津フーズファクトリーの営業部に配属されて半年以上。 社会人になって痛感した事は自分の要領の悪さである。
社会に出たら学校の成績は余り関係なかった。天下のK大卒もここでは何の役にも立たない。
堀田部長は昔母が向けていた目と同じような視線を私へと毎日向ける。 女は使えない、は彼の口癖だ。 そして彼は決まって次にこう言うのだ。
「女がK大を出ててもしょうがねぇなあ。 これで可愛げの一つでもありゃあ違うけれど」
「もうし訳…ありません…」
「謝る前にやるべき事があるでしょうが、本当に君何も取り柄がないね。
会社に居ても華の一つにもなれやしないんだから……」