【完】夢見るマリアージュ
何も取り柄がない。 言われ慣れていた言葉のはずなのに、何度だって私の胸を突き刺していく。
幼い頃、そして学生時代から言われ続けて来た言葉だ。
私には取り柄がない。
生まれ持った美しさもなく、要領も悪い。
どちらかと言えば背も低くぽっちゃり体型で、顔全体を覆っている真っ黒な長い髪と大きな黒縁眼鏡。
洒落っ気の一つもなく地味目な容姿だ。 社会に出てからだけじゃない。幼い頃、そして学生時代から言われ続けた言葉達。
’地味’’暗い’’冴えない’
’やばい’’きもい’ 言われ続けていたっていつまで経っても慣れるものではない。 その時その時いちいち傷つく。そしてまた自己嫌悪に陥る。
地味で可愛げのない見た目ならばせめて性格だけでも明るかったら救いもあるだろう。 けれど私は驚く程自己評価が低くて、自己肯定感も低い。
そうやって生きてきて、22歳になって勉強だけが出来る暗くてブスでヤバい女が完成してしまったのだ。
「すいませ……」
堀田部長の顔も見ずに俯いて何度も謝ると、はぁーと大きなため息が聴こえてきた。