【完】夢見るマリアージュ

「お客様睫毛がとても長いですねぇ~、羨ましいです。 それに睫毛の量も多いですし。
このマスカラをするとグッと瞳が印象的になりますわ。」

「あ、私も思ってた。 城田さんは特別目が大きいわけじゃないけど、黒目がちだし
何より睫毛が長いのよね。
私、睫毛は短いし、スカスカだから羨ましいわあ」

岸田さんの意外な言葉に目を丸くする。
すると「何よ」と彼女はぶっきらぼうな声で凄んだ。

「いえ…岸田さん…睫毛長いから」

「何よ、嫌味? これはすっごく努力してるの!睫エクに通ったり自分で睫毛の育毛剤を塗ったり…
それに毎朝マスカラで時間を掛けて伸ばしているのよ!!
美人は陰で努力しているの!」

「すご……。岸田さんって何もしないでも美人なのかと思ってました…。
いや、私から見れば十分何もしなくても美人なんですけど…
だって目も大きくて鼻も高いし、唇も綺麗だなあーってずっと思ってて
まるで自分とは全然違う生き物だから、努力なんかしなくっていいのかと思ってました。」

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