【完】夢見るマリアージュ
岸田さんは口ではそう言っていたけれど、化粧品売り場に着くと私に似合う物ばかり探してくれた。
意外にイイ人…?やっぱり勇気を出して誘って良かった。
自分じゃあ気後れしてデパートの化粧品売り場なんて入る気にもならなかったし、店員さんに話しかけられても委縮してしまう。
しかし岸田さんはどこに行っても堂々と振舞う女性で、やっぱり綺麗な人なのだ。 これだけ綺麗な人なのだから、どこに行っても目立って注目の的になってしまう。
さすがは営業部の高嶺の花。
ちっとも自分の物を探す気配はなく、化粧品売り場の店員さんと一緒に真剣になって私のお化粧について考えてくれた。
胸がざわざわする。
それは変わりたいとジムに通ったり、コンタクトに初めて挑戦した時と同じ気持ち。
この胸のざわざわは…………どこかふわふわしている感じ。 この気持ちは北斗さんと一緒に居る時も常に感じている。
私は楽しんでいるのだ。 ワクワクしたり、ドキドキしたり、昔の自分だったら諦めていた気持ちと向き合って、こんなにも気持ちが弾んでいる。