【完】夢見るマリアージュ

「さって、そろそろ用意しなくっちゃ。」 リリーを腕から降ろし、ジャケットに袖を通す。
今日は待ちに待った土曜日だった。

先週約束した通り、城田さんと一緒にチョコレートフェアに行く。 チケットが二枚あるから誘った。けれどそれさえ口実だ。

休日に彼女と過ごしたかった。 休日に彼女と過ごせばもっと元気が出て、癒されると思ったから。

「つーか、これ好きだよなあ…。 いやー参ったなあ…」

鏡の前で髪型をセットしながら独り言。 後をついて来たリリーが足元で不思議そうに俺を見上げた。

ああ、そうだ。この見上げる感じもリリーそっくり。
リリーは足元にすりすりと体を擦り付けながら、大きな目を瞬かせた。

「告白しようかなあ。いや…でもまだ仲良くなって一ヵ月ちょっとだ。早すぎるか。
引かれたら嫌だし……
そもそも城田さん俺の事どう思ってるんだろう…。
迷惑じゃないかなあ…」


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