ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「それにわたくしの相談にも、親身になってのってくださったの」

 詳しくは言えないのだけれど、とリーゼロッテはすまなそうにつけ加えた。

「……だからといって、王城にとどまらせる意味がわからないわ」

 アンネマリーはなおも言いつのる。彼女の王子嫌いは筋金入りのようだった。リーゼロッテは仕方ないとばかりに、言葉をつづけた。

「それに、わたくしも……王城で婚約者のジークヴァルト様のお側にいられるので、その、とてもうれしいの。普段はお会いできない方だから……」

 ジークヴァルトのそばにいたいのは、早急に異形の問題をなんとかしたいからなのだが。

「王子殿下にもいろいろとご協力して頂けることになって」

 恋する乙女を装って、リーゼロッテは軽く頬を染めた。ジークヴァルトに胸のあざに口づけられたことを思うと、演技でなくとも頬が赤く染まった。

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