ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 力の限り、ジークヴァルトの肩を押すが、びくともしない。

(あああ、ジークヴァルト様の髪が、く、くすぐったいっ)

 噛みついてひっぱったら、やめてくれるだろうか。そんなことを思っていると、ジークヴァルトが顔を上げた。昨日より時間が短かった気がする。

 リーゼロッテは、ほっと息をついた。胸元を見ると、石が青くゆらりと輝いていた。

「もしかして……毎日、やるのですか……?」
「もしかしなくても、だ」

 無表情で返すジークヴァルトに、リーゼロッテは大幅にHPを奪われたのであった。

『いや~みせつけるねー』

 不意に横から言葉が紡がれた。

 人の気配が全くなかった分、驚きが大きく、リーゼロッテはびくりと体を震わせた。
 恐る恐る首を横に向けると、ジークヴァルトが斜め横の長椅子の上であぐらをかいて座っていた。

 しかし、左右のひじ掛けにいまだ両手がつかれ、正面を見ると、自分を囲うようにしている無表情のジークヴァルトと目が合った。

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