ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「で、これは何の特訓?」
「異形の浄化だそうだ。どうしてもやるときかなくてな。無駄だと言ったが」
「やってみなければ分からないこともございます!」
「で、やってみて、できなかったんだねー」

 カイの言葉に、ぐっと言葉をつまらせたリーゼロッテが涙目になる。

「……リーゼロッテ嬢ってなんだかすごくいじめたくなるよね」
「カイ様……ジークハルト様と同じようなことをおっしゃらないでくださいませ……」

 ジークヴァルトの守護者たるジークハルトに初めて会った日に、『君って好かれた男の子にいじめられるタイプだね』と笑顔で言われたのだ。それはもうにっこりと。

 しゅんとしたリーゼロッテの言葉に、今度はカイが目を見張った。

「え? ジークハルト様? ……って、もしかしてジークヴァルト様の守護者のこと?」
「はい、今もそこにいらっしゃいますでしょう?」

 きょとんとして、リーゼロッテが答える。リーゼロッテの目の前には、ジークハルトがあぐらをかいたまま上下逆様になって宙に浮いていた。あれから数日、そこら辺でふよふよ浮きまくっている守護者に、すっかり慣れたリーゼロッテだ。

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