ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテとジークヴァルトの姿を認めたエラが、真っ青な顔でそこに立っていた。唇がわなわなと震えている。はっとしたようにリーゼロッテが顔を上げた。

(え? わたし今寝ちゃってた?)

「お嬢様! このような時間に公爵様と何をされていたのですか?」

 部屋の明かりをつけてエラが詰め寄ると、リーゼロッテは驚いたように目を見開いた。

「ごめんなさい、エラ。起こしてしまったのね。ジークヴァルト様とは少しお話をしていただけよ。エラが心配するようなことは何もないわ」

 立ち上がってエラをのぞき込むリーゼロッテからは、先ほどの力はみじんも感じられなくなっていた。

 ジークヴァルトは無言でリーゼロッテを見つめていたが、「明日、また迎えに来る」、そう言うと、ペンダントをリーゼロッテに手渡して部屋を後にした。

 夜もかなり更けた時間になっていた。困惑しているエラをなだめて、リーゼロッテはあきらめて寝室へと向かったのだった。

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