ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 ジークヴァルトがしばらく無言で髪をなでていると、リーゼロッテの頭がこてんとジークヴァルトによりかかった。見やるとリーゼロッテは瞳を閉じて、眠ってしまったようだった。

 ジークヴァルトはしばらくの間、守り石を手にしたまま、じっとリーゼロッテを見つめていた。無防備に眠るその頬にリーゼロッテの髪がひと房かかる。

 そっと手を伸ばそうとした、その時――リーゼロッテの体から、ゆらりと何かが浮き出した。部屋の空気がピリッと一変する。

 ジークヴァルトは息をのんだ。リーゼロッテの全身から、鳥肌が立つような強い力があふれていたのだ。

 不意にカタン、と音がして、人の気配を感じた。

「リーゼロッテお嬢様?」

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