ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 そのとき、応接室のドアがバン! と開かれた。

「ジークヴァルト様! 王城が! 王城が、大変なことになってます!!」

 出て行ったはずのカイが、息を切らしてそこに立っていた。

「カ、カイ様!?」

 扉を開け放ったカイの背後に、みっしりと異形がひしめいているのが見えた。リーゼロッテは恐怖のあまり、反射的にジークヴァルトの懐に飛び込んだ。


 王城を舞台に、前代未聞の騒ぎが、今、始まろうとしていた。


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