ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 ぽくりぽくりと白馬が歩を進めていく。
 再び馬に乗せられたリーゼロッテは、ジークヴァルトと共にみなのいる丘へ向かっていた。

 馬の背に横向きに座らされ、背後に座るジークヴァルトの片腕は、リーゼロッテを抱きしめるように腰に伸びている。だいぶ馬上にも慣れてきたのでリーゼロッテの手は、ジークヴァルトの騎士服を軽くつかむ程度になっていた。

 守り石のペンダントは外してポケットにしまった。また胸の間に押し込まれてはたまったものではない。

(それにしてもヴァルト様は今日、何しにこちらに来たのかしら? ピクニックに参加したかったとも思えないし……)

 たまたま時間が空いたのだろうか? 気になるが、遠路はるばる来たジークヴァルトに、何しに来たのだとはさすがに聞きづらい。

(馬に乗せるためにわざわざ来てくれたとか? ……まさかね。さすがにそれはないない)

 徹夜明けでそのためだけに来るなんてバカバカしいと、リーゼロッテは脳内で首を振った。いくらジークヴァルトでもそこまで世話好きではないだろう。

「あの、ヴァルト様?」

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