ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「ジークヴァルト様。お疲れのところ、息子に付き合わせて申し訳ありません」
「いや、問題ない。ダーミッシュ伯爵はいい子息をお持ちだ」
「そうね。ルカはなかなか剣術の素質があるわね。騎士団に欲しいくらいだわ」
「本当ですか? アデライーデ様」

 アデライーデの言葉に、ルカがぱあぁっと顔を明るくした。

「アデライーデ様、ルカが本気にするのであまり褒めないでやってください。ルカ、お前は伯爵家を継ぐ身だ、わきまえなさい」

 苦笑いのフーゴに、ルカは不服そうに反論した。

「お言葉ですが、父上。ジークヴァルト様だって、領地の経営と騎士のお仕事を両立されています。わたしも騎士団に入団したいです」
「ふふ、ルカは騎士様のお仕事にあこがれているものね」

 クリスタがやわらかく微笑むと、フーゴは困ったように眉を下げた。

「クリスタ、お前までそんな甘やかすことを……」
「あら、いいではないですか。ルカは言い出したら聞きませんもの。無理に抑えつける方がよくありませんわ」

 妻を溺愛しているフーゴは、クリスタには頭が上がらない。母親の援護にルカはその顔に喜びをにじませた。

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